筆者は、不動産投資の仕事をしているんだけど、色々と不動産の行方を見ていると、成長市場と衰退市場がよくわかる。
REITで気を付けているのは、以下の通り。
1.今後の業界の成長性
2.スポンサーの強さ
3.持っている資産の成長性
今後の業界の成長性
業界が成長するかどうかは、非常に重要だ。
大きく不動産投資の用途は、住宅、オフィス、商業施設、倉庫、ホテルが有名だ。
オフィスは、景気連動、住宅もほぼ一緒だが、ゆるやか、その他は上下が激しい。
例えば、ホテルは、特に上向きなように思えるかもしれないが実は、もう下降線だ。
ホテルは、昔は客の取り合いだったが、東京オリンピックが決まってから外国人がなだれ込んできた。おかげで、ホテルの客室のレートは爆上げである。
ホテルも不動産なので、元々5,000円の部屋だが、客が付くなら、10,000円までレートをあげるわけだ。そうなると、原価は、清掃費ぐらいしかかわないので、膨大な利益を生むことになる。
しかし、老舗のホテルならおいしいが、新設ホテル・購入された中古ホテルは、購入時から無理な金額で買っているケースが多いので、ホテルが乱立されると、レート下落し、経営は厳しくなる。実際、大阪の心斎橋の小売りはいいが、ホテルレートはすでに下落局面にはいっていると聞いている。
また商業施設は、アマゾンのようなネット通販の進歩により、店舗・売り場面積のニーズが急落し、業界再編の動きが出てきている。
その他は横ばいだろう。
スポンサーの強さ=黒字倒産防止
スポンサーの強さの有無も必要であるが、リーマンショックといわれる金融危機の時は、黒字倒産が相次いだ。理由はシンプルで、銀行からの借り入れの割合が多い不動産は、市況悪化で売買価格が下落し、物件のローン比率があがったことにより、返済を迫られて耐えられなくなったのだ。
事例で言おう。
■景気がいい
・不動産価値:100億
・ローン:50億
・エクイティ:50億
これをLTV(Loan to value)の中では、50%の割合なため、さほど問題は、ないことになる。なぜなら物件価値が50億減ることは考えにくいからだ。
詳細を言うならば、NOI(Net Operating Income:不動産からの純収益)からの利回りで割り戻した金額で耐えれるかどうかを計算する。
実際下がっていても、業界の人は、一時的急落とかごまかすので、耐えうるのが現実だ。
■景気が悪い時
・不動産価値:100億 ⇒ 60億
・ローン:50億
・エクイティ:50億 ⇒ 10億(40億の減損)
・LTV 50% ⇒ 83%
LTVで50%になるまで返済を求められる可能性があり、つまり、極端な事例でいうと、LTVを50%に下げるならば、50億 / 60億 = 83%なため、60億円 x 50%= 30億円までローン額を返済する必要がでる。
つまり、20億円ローンの返済を求められるわけだ。不動産投資をしている会社のほとんどは、眠らせている金はないため、現金が準備できずに、倒産していくのだ。
これが黒字倒産の実態である。
持っている資産の成長性
REITに物件を売却する、、、というのは、実は、会社がまとめあげた不動産の購入話の利益確定をして、購入利益を得たら、期中でゆっくり利益を吸う、というのが、REITビジネスの仕組みである。
逆を言うと、企業がどんな不動産をREITに仕込んでいるかをよく見ないと、結構危険だ。
ゴミ案件を大量にREITに放り込んでいる企業は結構ある。本当にいい不動産は、REITに落とすことは少ないのだ。
地方に投資するときに、分散投資です、なんていうが、実際、地方の不動産(レジ・オフィス・商業・ホテル)はすべてズタボロ。この下落しやすい不動産の先行きをみないと、景気悪化で大量の含み損をもらうことになる。
やはり都心に近いほど、どんなビジネスも強い。これは、どんな用途も変わらないだろう。例外があるならば、下火だが、太陽光とか自然エネルギーのみだろう。
以上がREITで気を付けてもらいたいところです。